トリコモナス膣炎とは?
ゾウリムシやミドリムシなどと同じ単細胞原虫の仲間で鞭毛虫という寄生虫の一種であるトリコモナス原虫が、性行為によって膣内に入り込み感染することによって起こる病気ですが、外陰部やその周辺、子宮及び腔内などにも感染し炎症を起こすこともあり、それも含めて「膣トリコモナス症(膣炎)」と呼びます。産婦人科ではしばしば見受けられる性感染症ではありますが、最近では減少傾向にあるようです。
性行為だけでなく、公共施設の脱衣場、お風呂のいす、便器、タオルなどで感染することもあり、時には感染経路がまったく不明という場合もしばしばあるようです。
また、この病気にかかると、膣の自浄作用が低下して、他の感染症に感染しやすくなります。典型的な帯下感、掻痒感を訴えることが多いが自覚症状のほとんどない不顕性感染もあり診断はトリコモナス原虫の検出によってなされ治療は他の性感染症と同様にパートナーも同時に行わなければなりません。
世界に分布しており、寄生虫によって生じた病理組織を持たないため、経口感染は認められず、性行為に伴う直接的接触が感染経路と考えられます。この原虫はグリコーゲンを多く消費するため、糖分やグリコーゲンを多量に含んでいる成熟した女性の膣に好んで寄生します。婦人科疾患の患者の約4割はトリコモナスに感染しているという報告もあります。